2023/01/20 17:46

鹿児島黒牛という最高の素材を、どのようにハンバーグという形へと進化させたのか。

商品開発の裏側を、開発責任者の後藤と河原シェフに聞いてきました。



主役の鹿児島黒牛を活かすには。研究の日々


(商品開発責任者の後藤)


「鹿児島黒牛の、ガツンとした肉のインパクトと旨味をそのままハンバーグにしたい」

それが極贅ハンバーグのはじまりでした。


若かりし頃から苦楽を共にしてきた相棒の河原シェフと、怒涛の日々がスタートしたのが数か月前のことです。


まずは、どの部位を使用するか。 各部位を単体で味わってみると、その差は歴然でした。


・もも肉・・・赤身ならではのしっかりとした食感だが、やや味がぼやける。

・肩ロース・・・上質な霜降りが口の中で溶け出してジューシー。ただ、脂が多すぎて鹿児島黒牛特有の旨味が薄れてしまう。


では、すね肉はどうか。

最も味が濃く、まっすぐに喉を突き刺すような肉のインパクト。 しかし、火入れすると硬い。


すね肉というと、特有の引き締まった肉質がゆえに、じっくり煮込む料理が一般的です。 

「やはり硬さは避けられないのか」 「しかし、この旨味はすね肉にしか出せない」という議論を重ねながら、シェフと様々な方法を試してみました。


不思議なことに、ミンチにしてみるとすね肉は他の部位と比べて硬さに大差はなかったと言います。

しかも、小麦粉やパン粉を一切使わないグルテンフリーの場合、すね肉が一番成形しやすいこともわかりました。


「すね肉でいこう」

多くの言葉を交わさずとも、考えが一致した瞬間だったそうです。

そこから、研究者さながらの実験を繰り返します。


まずは、ミンチにする大きさ。

3・6・9・12mmの4種類で検証を行い、すね肉の特長である”肉本来の旨味と香り”が最も引き立つサイズを導き出していきます。


火入れしても鹿児島黒牛の上質でやわらかな口当たりを保ちつつ、しっかりとした食べ応えを楽しめる食感のバランス。 

そのギリギリのラインが”3mm”でした。

それよりも大きいと硬くなったり、口の中でボロボロと崩れて食感が損なわれてしまいます。


無駄を極限まで削ぎ落とした、シンプルかつ最上級の素材を生かしたハンバーグ。


そこにつなぎを多く加えると、必然的にやわらかく仕上げることは可能です。

しかし、それでは肉本来の旨味や食感を消してしまう恐れがあります。

肉の魅力を何倍にも高めるための飛び道具として、つなぎを活用したいと考えました。



ベストな素材、配合、職人技の三位一体


つなぎに使用する素材の条件は、小麦粉やパン粉を一切使用しないグルテンフリーであること。

「よけいなことは何も考えずに、ハンバーグの味だけに集中してほしい」

その想いから、無駄を削ぎ落としたレシピにしようと最初から考えていたと言います。


肉の脂が逃げないようにした結果、わらび粉やオートミールを試したもののどうしても脂っこくなってしまいました。

これでは肉の脂が強すぎて、最後まで美味しく食べられない。


最適な脂を保ちながらも、一口目のインパクトとして、しっかりとした食感と圧倒的なコクをもっと高められないか。

様々な食材で試す日々が続きました。


そうして最終的にたどり着いたのが、京都丹波の特産である「山の芋」。


耳慣れない方も多いかもしれませんが、私たちの会社は京都に本社を置いており、京の伝統野菜が身近だったということもあります。


一番の決め手は、他には真似できない味の濃さと粘り強さ。 

普通の長芋とは比べ物にならないほどの粘りとコクのある芋です。

肉と混ざり合うと、不思議なほど極上のコクに変化するのだと言います。


ここからは、ホテルでフレンチの修行経験を持つ河原シェフの腕の見せ所。


(極贅ハンバーグのレシピ開発を担当した河原シェフ)


すりおろした山の芋に、全卵と鹿児島黒牛の牛脂を少しだけ加えてよくミキサーで撹拌すると、さらになめらかさとコクが増します。


そこに、フレンチで使われることの多い「グラス・ド・ビアン」と呼ばれるフォンドボーをさらに煮詰めたものを隠し味に加えます。

この隠し味が、口に入れたときの奥深い感覚を作り出しているのだそうです。


さらに、ただ肉とつなぎを混ぜ合わせるだけではなく、その混ぜ込み方にもシェフのこだわりが。


あらかじめミキサーでよく撹拌した少量のつなぎを力強く、根気よくしっかりと肉に練り込んでいきます。

肉自体に粘りが出るくらいまで丹念に練り込むことで、黒牛の弾力は残しつつも硬くならない食感を生み出すことに成功しました。


ただし、牛肉の脂は融点が低いため、人の手の体温で脂、つまり特有の旨味が溶け出さないように注意が必要です。

素早く、力強く練り込むという根気の要る丁寧な作業によって、すね肉はより細かいミンチ状になり、つなぎと一体化して理想の口当たりのハンバーグとなったのだと言います。


素材、配合、職人技。 話を聞いていて、どれが欠けてもこの形は生み出せなかったと感じました。



イタリアンの真髄、トマトソースを日本人の舌に馴染ませる


フレンチにもトマトソースは存在しますが、イタリアンのそれとの違いは「煮込み時間」だと河原シェフは語ります。


フレンチではしっかりと煮込んで丁寧に裏ごしすることでなめらかなトマトソースとなりますが、イタリアンではトマトの酸味を生かすために敢えてさっと煮込みます。


イタリアンの三種の神器「オリーブオイル・にんにく・鷹の爪」との相性がいいのはもちろん、今回の鹿児島黒牛の強い旨味に負けないソースにするには、イタリア産の酸味の強いトマトが最適だったのだと言います。


その作り方は、至ってシンプル。

ただし、食材を入れるタイミング、炒める時間、手際の良さ。
その一瞬一瞬が、シェフの熟練した経験がないと成せない技ではないかと思います。


1.オリーブオイルに鷹の爪、にんにくを炒めて香りを立たせる。

2.みじん切りにした玉ねぎを加え、焦げないようにじっくりと炒めて甘みを丁寧に引き出す。

3.無添加白ワインを入れ、旨味と香りを閉じ込めつつフランベしてアルコールを飛ばす。

4.イタリア産のホールトマトを加える。


このとき注目したいのが、酸味の強いトマトにほんの少しのまろやかさとコクをプラスするため、無添加ケチャップを加えていること。

トマト1㎏に対し30gほどと少量ですが、国産粗糖と麦芽水飴を使用したケチャップがほのかなやさしい甘みを演出してくれます。


さらに、水分の代わりにチキンブイヨン(鶏ガラ出汁)を隠し味に使うことで、奥深い旨味成分やコクが一体感と広がりを持たせてくれます。

日本人にとっての昆布や鰹の出汁の役割です。

ここで使用する鶏ガラ出汁も、牛と同じく鹿児島県で大切に育てられた「南国地鶏」から丁寧に抽出したものであるから、何とも縁深いものを感じました。


こうして、唯一無二のトマトソースが完成したのです。


もちろんソース単体でもその味は言うまでもありません。

しかし、このトマトソースは「あくまでもハンバーグの味わいを最高潮に持っていくための手段に過ぎない」のだと開発担当の後藤は語ります。

口の中で肉汁と混ざり合うことで、それぞれの旨味が何倍もの化学反応を起こす。

まずはソースをかけずに肉本来の味を舌に覚えさせ、そのあとにぜひトマトソースといっしょに食べていただきたいです。


また、トマトの酸味が苦手な方は、ハンバーグに焼き目を付けた後にトマトソースを加え、煮込みハンバーグにすると酸味がマイルドになってまた別格の味わいとなります。

ぜひお試しください。



贅のある、豊かな人生のために。さらに高みを目指して


「極贅」は、贅沢と似て非なるもの。


豪華な食材を沢山取り揃えれば、もちろん質は高まります。

ですが、その先にある心まで豊かにする「極贅」は、無駄を削ぎ落としながらもほんの一瞬、ほんの1mmも妥協しない姿勢と情熱が創り出すものではないでしょうか。


それを追い求める人生こそが、豊かさであり、贅を極めることである。
私たちはそう考えます。


「極贅」ブランドで、贅のある貴方らしい豊かな人生を。


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